カノンの海外ドラマ漂流記

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ドラマ「ライン・オブ・デューティ」シーズン3 Ep5 感想 ~ ドットvsデントン直接対決! 予想外のラストへ Netflix

シーズンファイナル直前、驚きの展開が待っています。

ロンドン警視庁の汚職特捜班AC-12の物語。左から、テッド・ヘイスティングス警視(エイドリアン・ダンバー)、スティーブ・アーノット巡査部長(マーティン・コムストン)、ケイト・フレミング巡査(ヴィッキー・マクルーア)。 

 

前回
デントンが釈放され、
ドットは “キャディ” の罪をスティーブに着せようとしました。

最終回にに向けて整理します。第5話「The List」ネタバレ感想です。

 

 

焦点は【ダニーのリスト】スティーブ&デントンが共同捜査

第1話で子供時代に性的虐待をしたグループの2人に復讐した(殺した)ダニー・ウォルドロン(ダニエル・メイズ)。

汚職警官 “キャディ” ことドット(クレイグ・パーキンソン)の指示で殺されますが、AC-12スティーブ宛てに、虐待の加害者リストと思われるメモを残します。これは決定的な証拠。

 

ドットはこのメモを燃やしてしまいました。

20年前の児童性的虐待事件の再捜査が始まったので、自分が仲介する汚職警官組織のことがばれるためです。

 

しかし、共闘し始めたスティーブとリンジー・デントン(キーリー・ホーズ)は、必ずコピーがあるはずだと探します。

万一に備えて証拠を残したはずで、2人の動きを理解したドットはだんだんと恐怖の表情になっていきましたね。

 

シーズン2のトミー・ハンター殺しの容疑で逮捕され、釈放されたものの警官の身分を失ったデントンと、ドットに陥れられ停職になったスティーブ

ダニーが遺体の一部を隠した倉庫から足取りを探り、自宅近くに隠したはずだと確信します。ここがデントンらしくて面白かった!

スティーブには見当違いの場所を探させ、油断したスティーブのメモを盗んでインターネットカフェに行くんです。

 

自分ならこうする、という人の心を読むデントンのしたたかさに舌を巻きます!

が、その行動はドットに監視されていました。

 

 

 

 

【キャディの捜査】ドットはスティーブを “キャディ” に仕立てるため、ケイトに近づく

死んだ汚職警官コールが “キャディ” だったという説が通用しなくなったドットは、次にスティーブを標的にします。罪を着せ、AC-12から追い出せたら一石二鳥ですもんね。

さらに、ダニーの事件の詳細も手に入れたい。

 

ドットの作戦は
“キャディ” のプロファイルをスティーブに一致させ、上層部に信じさせる
●規則に反して銃を携帯していたと告発する。手続きをさぼっただけでしたがグロック17です→停職になる
●スティーブのパートナーだったケイトを自分の味方にする
●ケイトと一緒にスティーブ&デントンの捜査を探る

↑プロファイルです。ロンドン訛り、元テロ対策班で凶悪犯罪に通じている、犯罪組織との結びつきから都市のワーキングクラス出身・・・など、綿密に段階を踏んで追い詰めます。

 

そしてケイトに優しい! エスコートしたり、花を贈ったり。ケイトは「急ぎたくないの」と言いますが戸惑っているのは確か。以前、ケイトのためにコーヒーを持ってきたのにケイトが去ったら投げ捨てたことがありましたからねッ。

 

「スティーブのことは残念だ。事実なら味方してくれるよな」と巧妙に近づきますので、ケイトが心配です。賢いケイトは簡単には騙されないと思いますが、親し気な二人の振る舞いにスティーブは複雑な表情でした。

 
 
 
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潜入捜査の手続き(ケイトは別の警察署で調査の許可を申請していました)や警察のルールが具体的にリアルに描写されるところも見ごたえありました。

 

【虐待事件】ヘイスティングス VS フェアバンク! 突破口になるか

いよいよ大御所対決も始まりました。

緊迫したインタビューシーンの脚本が素晴らしい「ライン・オブ・デューティ」。

今回の取り調べでは、ついにテッド・ヘイスティングス警視が大物OB、フェアバンク元警視正(ジョージ・コスティガン)に話を聞きます。

 

テッドはスティーブを停職にするしかなかったわけですが、やっぱりかわいい。捜査も頑張ったので、施設の少年たちへの大規模な性的虐待事件に警察幹部が関与したのではないかというスティーブの推測に沿って進めます。

 

ここに至った経緯は

●ダニーと同じ施設サンズビューに入っていた息子への虐待をフェアバンクに告発した女性がいた→当時の市議会議長ローチの件をもみ消したことは確実
●ダニーと同じ時期にサンズビューに入っていたジョゼフ・ナッシュがフェアバンクの写真を見て嘔吐した→加害者の一味だったことは確実

この時点でのフェアバンクの容疑は「職権乱用」です。

・ロイドの死を自殺にした
・デイル・ローチ議長の虐待を隠蔽した
多くの苦情があったのに捜査しなかった

先ほどの女性だけでなく、警察の他のチームからも当時の聞き取りを行ったようでした。

 

「協力したいのに覚えてないんだよ」の一点張りです。

当時の証拠や言葉遣いなどから畳みかけるテッドとケイト。心配そうに見ているドット。

 

だんだんとテッドの言葉にも怒りがにじみます。有力者や政治家から見逃すよう強制されたのではないか? と。

「政治家は生来の嘘つきだ。ショービジネスの人間には道徳観が欠如している。でもあなたは警官だった!  but you were a police officer! 」。

胸に迫る言葉ですね。

 

 

 

 

ところで、テッドは法律顧問ジル(ポリー・ウォーカー)にも不信感を持ち始めます。

そもそもは、ジルがテッドに渡したロナン・マーフィの資料が改竄されていた(重要な情報が消されていた)ことが混乱の一因。ジルも汚職警官の仲間なのか、彼らから渡された資料なのか。

さらに、ジルは、もともとスティーブの捜査手法が不満だったので、ドットとともに停職に加担した経緯もあります。

 

テッドとジル、いい雰囲気だったので残念ですが、「あれは過ちだった」といったテッドに「でも(あなたが犯した)最大(のミス)じゃない」と言ったジルの言葉は謎めいています。

 

【ドットvsデントン】リストを巡って最悪の結果に

頭がよくて鋭くて重く鬱屈した思いを抱えているデントン。「ライン・オブ・デューティ」史上、屈指の迫力キャラだと思います。

この役でBAFTA(英国アカデミー賞)主演女優賞にノミネートされました。

 

スティーブのメモからダニーのアカウント情報を入手し、インターネットカフェでついにリストを見つけます。ダニーは、メールの下書きに画像として残していました。

 

自分の携帯に取り込んで警察に向かおうとするデントンですが、ドットにだまされて車で人気のない港らしきところに連れて行かれます。

この車での対決シーンはラスト約7分間。忘れられないシーンです。

 

・ドットはダニーの証拠に10万ポンドを提案。それですべて忘れろと取り引きします
・デントンは、ドットが汚職警官の一味だと初めて知ります
デントンはあくまで拒否。AC-12へ証拠を持って行って警官に戻るのだと告げました

激しいやり取りが続きまして、忘れろ! と強要されますがデントンは、証拠画像をメールしようとします。何してる! に「私は警官よ! Because I'm a police officer」 と叫び返します。

 

「5人の死に関与し私をハメた」すべてを悟ったデントンの表情が正面から映されまして、心を決めた覚悟した表情でした。

 

ドットはデントンが指摘した通り自分の手を汚さない橋渡し役なので、銃を握って震えています。でも殺すしかない。

「私が連行してやるわ、キャディ」と言われて頭を撃ちました。メールは送信されていました

 

 

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●呆然と見るしかないラストでした。

すべてが吹っ飛ぶ展開で、しばらくは今後の予想なんて考えられませんでした。

 

人の心を読んで操る女だ、と評されていますからね。

犯罪者になりきって考える鋭さと頭の良さが自分を追いつめたわけで、デントンの人生が重いです。

 

●そう思って、前半のスティーブとのカフェでの会話を思い起すとさらに苦しくなりますね。

スティーブは謝罪の言葉を口にしました。刑務所に入っていたデントンは受け入れません。苦しさを吐き出すリアリティある会話だったと思います。その怒りが原動力になって捜査を始め、デントンらしく結論に至ったことになるのでしょうか。

苦しいです。

 

次回最終回は緊迫の90分スペシャルです。

 

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