物語は第2ステージへと動きます。第5回「喝采のあとで」。
前回、テロリスト、サリムの爆弾を届け、最初の任務を完了したチャーリー(フローレンス・ピュー)はイギリスに帰国。
●ついにテロリスト側から接触があり、
●チャーリーとギャディの関係に進展があり、
チャーリーは新たな事件(作戦?)に巻き込まれるという展開でした。1979年のお話です。
チャーリー×ミシェルのフィクションが深まります
冒頭、マーティ(マイケル・シャノン)達モサドチームはロンドンに拠点を移しています。チャーリーへのテロリスト側からの接触を監視するためでしょう。
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久しぶりにギャディ(アレクサンダー・スカルスガルド)と再会したのはロンドンの公園のようです。簡単には会えないと言うギャディに「男の言い訳には慣れてるから」と答えるチャーリーのキャラがたくましくてツボでした。
チャーリーは不安で混乱して、英国でもいつもギャディの姿を探していたといいます。さらに「彼(サリム/ミシェル)元気?」と尋ねますが、ギャディは、サリムとアンナを殺したことは言いませんでした。
そして射撃のシーン。前半のハイライトでしたね。
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あくまでサリム(別名ミシェル)としてチャーリーに接するギャディは、初めて組織のトップである兄ハリールの話をし、フィクションが完結しました。
兄がいかに賢く勇敢か、認められてどんなに嬉しかったか。ハリールは手首を撃たれたので片手で銃を撃っていたこと。仲間になる誓いは銃にキスすること。ここをミュンヘンと見立ててさまざまに具体的なストーリーを伝えていきました。
さらに繰り返し、イスラエルがパレスチナ人を追いやった1948年のアルナクバ(パレスチナ側の大惨事。イスラエルにとっては建国)について。デイル・ヤシーンで村人が虐殺された事件、67年のこと。何度も繰り返された中東戦争の残虐さを話すギャディも涙をこぼしました。
ミシェルとして語ったからではありますが、自分の立場・国は変えようがないけど、人としてどうにもできない事実に対する思いを押し殺せなかったのでしょう。
圧倒されたチャーリーは銃にキスをします。実際にはもっとたくさんの複雑な話をしていたはずで、ここまで積み上げてきたフィクションが、今後チャーリーを助けることになります。
最後に、ギャディは盗聴器である小型ラジオをチャーリーに渡しました。
テロ組織の協力者がやって来た!
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チャーリーを訪ねてきたのはこの2人。急進的な活動家ヘルガ(カタリーナ・シュットラー)はドイツの女優さん。過激派を支援するスイス人弁護士アントン・メスターバイン(ジェフ・ウィルブッシュ)はイスラエル出身、ドイツで活躍中。ドイツ語訛りも鍵になっていました。
いちばんハラハラしたのはこのシーン。チャーリーは本当にサリムの恋人だったのか、厳しい尋問が行われます。
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警察と思われて殺されそうになり、ギャディ達が踏み込む直前に「銃にキスをした」と咄嗟に口にしたチャーリー。現実の記憶のようになっていたフィクションに救われました。
厳しい会話劇でしたね。嘘と本当をおりまぜた世界なので、セリフの一つ一つに緊張感があります。
ジョン・ル・カレ原作のフィクション部分のイメージを映像として重ねていくのも面白い作品でした。
そしてヘルガ、アントンの話から、チャーリーはサリムが殺されていたことを初めて知り、激怒します。
公正な裁判が行われると信じていたわけですし、サリムの生い立ちに同情も覚えていました。ギャディに怒りをぶつけますが、マーティは「予想以上の成果だ」と喜んでいます。
ギャディはチャーリーの苦しみを訴えますが、マーティは「だから彼らは信じた。(真実を)知らないことが重要なんだ」とリアルな反応を評価します。これだけの逸材には出会えないとして、あくまでチャーリーによる作戦を続行。
チャーリーは、小型ラジオで聞かれていることを承知で、サリムから貰ったマフムード・ダルウィッシュの詩を声に出して読みます。
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「目を覚ますとき、夢を裏切ったか問いかけて裏切ったのなら白鳥の舞を思い出せ。私はありのままで愛されたい」といった激しく美しい詩でした。
本当のことを知りたいという、ギャデイへのメッセージですね。
作戦を引き受けるのは何のため?
マーティのチームは、アントン達協力者を調べて、ハガキを使った連絡手段を突き止めます。が、暗号解読には時間がかかりそうです。
チャーリーはマーティに怒ります。君が必要だと説得するものの、私を守れる? そんな話引き受けると思う? と決裂。ギャディが車で送って行くことに。
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着いた先はギャディのフラットで、「作り話はもう無し。これが任務ならやめて」と言うチャーリーに応えて自分のことを正直に話すギャディでした。
で、ひと晩過ごすわけですが、ギャディは相当迷っていました。
以前の失敗のようにチャーリーを死なせるわけにはいかない。支えるためには(安心させるためには)本当のこと(気持ち)を伝えるしかないわけです。
はっきり「君はやめていいんだ。俺たちとは違う」と言います。何度か登場する台詞で、正直な気持ちだったでしょう。
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2人にとって大きな意味をもつブレスレットになりました。
チャーリーは、生きていると実感するのは愛よ、と話しながら「幸運を祈って」と言ったのは、続ける決心をしたということでしょうか?
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ヘルガに電話したチャーリーは、銃を突き付けられ連れ去られてしまいました。
次回、舞台は中東へと移ります。
ギャディの部屋に着く前に「私がやめたらどうなるの?」とチャーリーは聞いていました。
やつらはやめない、次のテロが起こればイスラエル軍は報復の爆撃をする、ハリールはさらに強くなる、とギャディは答えます。
報復合戦になるしかない現実を示すやりきれない会話でした。