談笑中の白髪の紳士(中央)は、原作者ジョン・ル・カレ様です。右はギャディ役アレクサンダー・スカルスガルド。3枚目と5枚目にも登場します。
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(なに話してるんでしょう? 特に5枚目)
カメオ出演を楽しんでいるル・カレ先生。これまでにも、トム・ヒドルストンのドラマ「ナイト・マネジャー」や ゲイリー・オールドマン、コリン・ファース、マーク・ストロングらの映画「裏切りのサーカス」(2012)、フィリップ・シーモア・ホフマン、レイチェル・マクアダムスの映画「誰よりも狙われた男」(2014)、ダイアン・キートン主演の映画版「リトル・ドラマー・ガール」(1984)などに出演していました。
1931年生まれなので今年89歳ですが、楽し気でお元気そうで何よりです。今回のドラマではカフェのウェイター役として第4話に登場します。(追記●2020年12月12日に亡くなったジョン・ル・カレ先生の映像作品一覧を作りました。こちらへ)
- ジョン・ル・カレの傑作スパイ小説をドラマ化。1970年代が舞台
- 強く賢い主演 “女優” は、フローレンス・ピュー!
- 強引かつくせ者、モサドのチームリーダーにマイケル・シャノン
- 厳しく温かく見守る“先輩”としてのアレクサンダー・スカルスガルド
ジョン・ル・カレの傑作スパイ小説をドラマ化。1970年代が舞台
映画にもなった「リトル・ドラマー・ガール」(ハヤカワ文庫)。2018年に BBC One で全6話のドラマとして放映されました。日本では8話構成となっています。放送時間の関係でしょうか。U-NEXT配信中(吹替)。
出版されたのは1983年で映画化は翌年。主演がダイアン・キートンだったためアメリカ人という設定になったそうです。今回はより原作に忠実に作られているようです。
個人的に、ドラマ化の話を知ってとても楽しみにしていました。ハードカバーで読んだ、初めてのジョン・ル・カレ作品だったんです。その後、スマイリー・シリーズに立て続けに没頭。重厚な世界観と緻密でシビアで熱い心理戦に夢中になりました。
ですが、読んでからすでにウン10年・・・ディテールは忘れてまして、メンツやプロモ写真を見て恋愛要素の記憶なんぞ抜け落ちていることに気づきましたが、ただ、女性をここまで書けるんだと人間心理のプロはさすがだと感動したおぼえがあります。キャスト全員実力派だし、制作は「ナイト・マネジャー」のチームとのことだったので視聴しました。
時は1979年。ミュンヘンオリンピック(1972年)でパレスチナの武装組織がイスラエルの選手11名を殺害。日本赤軍を含む仲間の釈放を要求した事件からさほど時間が経っていません。
イスラエル×パレスチナの緊張関係が軸となっています。モサド(イスラエルの諜報機関)がパレスチナのテロ組織に接触する人員として女優のチャーリーを引き入れるという話です。確かに演技力と即興力が必要な仕事ですが、全くの素人を・・・という疑問を忘れさせる説得力はさすがということにしておいて。緊迫した国際情勢のなか、だまし合いが最後まで続くことになります。
強く賢い主演 “女優” は、フローレンス・ピュー!
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主人公の本名チャーミアン、女優チャーリー役はフローレンス・ピュー(Florence Pugh)。
大ファンになりました!! すごい迫力ですね。
吸引力がものすごい。迫真でした。名前は知っていたけど、今まで出演作を見ていなくてごめんなさいと謝りたくなる骨太の存在感です。オスカー・ノミネート「ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語」未見で書くのもおこがましいけど、若手俳優ではスーパーな存在ではないでしょうか。
ジョン・ル・カレが感動して、新作にフローレンスという役を作ったと何かで読みました。(追記★「スパイはいまも謀略の地に」でしたね。想像以上に重要キャラ)
映画「ファイティング・ファミリー」を見たくなりました。(一説によると)160センチ60キロという親近感のもてる体型。筋トレした体型でなくてはセレブにあらず、という最近の風潮を全く無視した迫力です。プロレスラー一家の話ですから(母親役はサーセイことレナ・ヘディ)身体能力はとても高いらしい。↓この体幹も納得です。
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過去のインタビューを読んでみると、とても真面目で役に入り込むタイプで、若いのに納得するまで動かない頑固さ・激しさがあるようです。1996年、英オックスフォード生まれ。次の映画「ブラック・ウィドウ」も楽しみです。
↓はプロモーション時の記者会見より。
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役柄はロンドンが拠点の劇団の女優。勝気で思ったことをはっきり口にします。その演技力、行動力や物怖じしない性格、おそらく家族がいないことなどから作戦に誘われます。冒頭のオーデイション場面もモサドによる設定だったのでしょう。第1話の日本語タイトルは“オーディション”です。
強引かつくせ者、モサドのチームリーダーにマイケル・シャノン
リーダー、指揮官マーティン “マーティ” クルツ役は、マイケル・シャノン(Michael Shannon)。1974年ケンタッキー州出身。最近では「ナイブズ・アウト」「ボードウォーク・エンパイア」。とにかく多くの名作・話題作に出演して受賞歴数知れずのベテランですね。
髭とメガネの70年代ルックで登場↓
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子供時代は収容所で過ごしました。過去にいろいろと悔しい思いをしているらしく、作戦にかける思いはめちゃくちゃ強いです。主な舞台は西ドイツなんですが(ル・カレ先生本人もMI6時代は西ドイツ勤務でしたね)関係各国に強引に交渉し、有利な形で作戦遂行を勝ち取ります。
この辺の政治的な駆け引きは序盤が中心で、あとはひたすら追って追われるスパイ合戦をぐいぐい進めます。
スパイものって、善悪とか正義の味方はどっちだ? 的ロジックで割り切れない苦しさや切なさが人気の理由だと思いますが、まさにそこまでやる? というキャラでもあります。その分、苦悩も深いわけですが。
冒頭、西ドイツのイスラエル外交官宅で爆弾テロが起こり、子どもが犠牲になります。その証拠や手口から、長年追っている組織だと判明。爆弾作りの天才ハリールを長男とするパレスチナ人4兄弟の組織を追跡します。今回の事件を起こしたのが末っ子のサリムと分かり、チームを組んで追跡がスタート。
The stars of "The Little Drummer Girl" hit the premiere today in London! Check out all the photos: https://t.co/mIy1h01vGW
— JustJared.com (@JustJared) October 14, 2018
なお、もちろん後半ではテロリスト側の描写も出てきまして、これがまた人間的なドラマが諸々ございます。
厳しく温かく見守る“先輩”としてのアレクサンダー・スカルスガルド
マーティ・クルツが呼び寄せたチームの一員。チャーリーを作戦に引き込み、現場のパートナーとして指導し見守ります。個人的な信頼関係を結ぶまでが第1回。
アレクサンダー・スカルスガルド(Alexander Skarsgård)の役名はギャディ・ベッカーということになっていますが、スパイ物の常で偽名が多くてややこしい。作戦中はサリムになったり、その別名ミシェルを使ったりします。
最初はペーターで、チャーリーが勝手にホセということにしたりジョゼフと呼んだりもする。公演のためギリシャに来ていたチャーリー達に接近。行く先々で目立つ形で遭遇し、注意を引いて親しくなると言う戦法。近くにいるだけで充分目立つと思いますが↓
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何でしょう? このスーパーモデル感。
ともかく自然な会話のなかで親しくなり、相手との距離をはかりながらの心理戦がスタートします。
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↓2枚目、劇団仲間のアル役はマックス・アイアンズ。ジェレミー・アイアンズの息子だそうです。
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ギリシャ・ナクソスから、次回、チャーリーとペーター(ギャディ)は二人でアテネに向かうことになります。