カノンの海外ドラマ漂流記

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ドラマ「エカテリーナ」シーズン2 Ep1~4 感想 ~ 新キャストを中心にまとめて紹介

ロシア国営テレビが総力をあげて制作した(たぶん)大河ドラマ「エカテリーナ」シーズン1と主要キャストの詳しい紹介はこちらへどうぞ。

 

2015年放送のシーズン1のあと、シーズン2は2017年(12話)シーズン3が2019年(16話)放送されました。

現在、huluでシーズン1&2、配信中です。シーズン2は、まずは序盤の4エピソードまとめてのネタバレ感想です。

 

3シーズン構成でエカテリーナ2世を描きます

エカテリーナ大帝ことエカテリーナ2世を演じるのは、NHKのアリアズナ(「坂の上の雲」2010)こと、マリーナ・アレクサンドロワ


エカテリーナ2世は、ロマノフ朝の第8代皇帝。1729年5月2日 - 1796年11月17日(在位1762 - 1796)。14歳でロシアへ行き、16歳で結婚、33歳で即位。亡くなったのは67歳のときで、フランス革命の7年後です。

 

シーズン1はドイツから皇太子妃となり、即位するまでが描かれました。

シーズン2は「旅立ち」という副題があるようで、即位6年後の1768~82年。専制君主への軌跡が中心。

シーズン3は、1774~76年にフォーカスして、より詳しくドラマティックに描いているようです。歴史ドラマの常でかけ足状態になりますからね。

 

 

 

 

なお、スーパーにパーフェクトな日本版wikiによると、シーズン3の副題は「僭称者たち」とのことです。素晴らしい充実度なので! 参考にさせていただきながら視聴しました。

 

最大の外交問題はオスマン・トルコ。一触即発の緊張状態です

最初に時代設定など。

1768年というと、江戸幕府は10代将軍徳川家治の時代。イギリスでは産業革命が始まり、アメリカ独立宣言まであと8年、フランス革命まで21年という時期ですね。ロシアは戦争前夜です。

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↑ こちらは、オスマン帝国の大使としてロシアにやって来たパシャ・ジャネル。ロシア語に堪能で礼儀正しいといわれていまして、外交交渉のために贈り物をもってエカテリーナに謁見するところ。受け取りは拒絶されます。

 

しかも、スルタン・ムスタファ3世は領土拡大が悲願。フランス・オーストリアと協定を結び、プロイセンとも交渉中。度々ロシア側に侵入を繰り返していて、なんとエカテリーナ暗殺を目論んでいました。

 

トルコでは致死率の高い天然痘が流行していて、そのウイルスを白粉に混ぜてエメラルド付きの豪華な贈り物に仕立てていました!

ジャネルさんは知らなかったみたいです。このウイルスが後々影響いたします・・・。

 

ちょうど、第一次露土戦争(と世界史で習った)大規模な戦争前夜ですね。(実際には、ロシア×トルコは10回以上戦争しているみたいで、この戦争が最初ではないようですが)勢力争いの中心は、黒海・クリミア半島

プロイセンはシーズン1から相変わらずフリードリヒ大王フランスはルイ15世→16世という時期。

 

シーズン1でピョートル3世を暗殺し、エカテリーナのクーデターを成功させたオルロフ兄弟ももちろん軍人として対トルコ作戦に従事。↓ 右が兄グリゴリー、左が弟アレクセイ。4兄弟の次男と三男。

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偵察の際、戦闘が起こり、エカテリーナの恋人グリゴリー・オルロフ大佐は負傷してしまいました。

なんですが、この戦闘後、同じく負傷していたグリゴリー・ポチョムキン少尉にエカテリーナに手紙を届けさせるのでした。

 

10年ぶり! ポーランド王も再登場です

シーズン1では可愛いアレクサンドル・ヴォロビヨフ君でしたが、10年後、即位して渋い大人になっておりました。スタニスワフ2世アウグストです。

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今シーズン、いちばんのイケメンですよ!

演じるのは、ポーランドの俳優 Marcin Stec。1980年、ボレスワヴィエツ生まれ。ポーリッシュポタリーの名産地ではないですか! 映画「ザ・コールデスト・ゲーム」など各国で活躍中のようです。

 

エカテリーナによって王位につけられ、ロシアやオスマン帝国やプロイセンに翻弄され、後に分割されてしまうわけですね。何とか領土と独立を維持しようとしますが、パーニン伯爵に弱みを握られるなど苦しい立場でした。

 

国内では、不満分子や農奴制が描かれました

夫だったピョートル3世へのクーデターで皇帝の座について数年ですから、まだ盤石とはいえません。

自分こそ正統なロマノフ朝の跡継ぎだと主張しては扇動する人物たち、過酷な労働で不満を募らせる農奴たちへの対応が必要です。

 

閣僚の間でも意見は分かれ、何度も難しい政治的な決断を迫られることになります。

が、エカテリーナはいつも即断即決。生来の勉強家で啓蒙思想に傾倒していますから、農奴制や農作物・経済政策についても研究していまして

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不作が続いたので、アメリカ原産のキクイモを育てて南部を肥沃な穀倉地帯にする! と閣僚たちに食べさせたり。写真はイモだけのディナーのシーンでした。。

 

農奴は解放し、貴族の徴兵は選択制にする、など革新的な政策を打ち出しますが、反対にあうことも多かった。

政権が不安定な状況だったことが背景にあります。ですが、強い意志で政治を推し進める姿が迫力でした。

 

家庭では、2人の息子との関係が苦い今シーズンです

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たいそう可愛い心優しい皇太子パーヴェル・ペトロヴィッチピョートル3世との息子ですが、シーズン1のセルゲイ・サルトゥイコフ伯爵の子供かもしれないと描かれます。後のパーヴェル1世。

 

演じるパーヴェル・タバコフ Pavel Tabakov は1995年モスクワ生まれ。初登場時、14歳の設定です。

剣術やスポーツより文学や音楽を愛し、母からはフョードロヴィチ(ピョートル3世)に似てきたと疎まれ、亡き父への憧れを募らせる役。

エカテリーナも強権的に接して、ますます反目し合ってしまいます。

 

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もう一人の息子アレクセイグリゴリー・オルロフとの息子です。

 

遠くで育てられ、両親に嫌われていると思い込んで口をきけないふりをしていました。肖像画家との触れ合いが救いでした。まだ6歳の孤独な少年が案じられますね。 

 

 

 

 

超重要、宮廷のおじさま達をご紹介!

今シーズン、ますます政治劇に比重が置かれます。まずは、陰謀で生きているようなニキータ・パーニン伯爵

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オスマン大使と裏取引をしようとしている右側です。

演じるセルゲイ・コルタコフは1955年生まれ。ソ連時代から舞台で活動し、多くの映画・ドラマで活躍。2020年にモスクワで亡くなったそうです。

パーニンは、外相ですが後に宰相も兼任します。

賭け事が大好きなタヌキ親父でした。

ポーランド王に賄賂を要求し、暗に邪魔者は消してあげましょうとほのめかし、オスマン大使をだまして贈り物を自分のものにし、恋敵を追い出し、皇太子を懐柔・・・いわゆる悪徳政治家の部類で言動も粘着系ですが、人脈や行動力から他に代わる者がいない実力者であるのも確か。

いろんな事件にからんできます!

 

こちらも代替わりしました、秘密警察長官ステパン・シェシコフスキー伯爵

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悲惨な拷問部屋も登場しますが、権力者にとっては、どんな情報も手に入れる頼れる重臣。腹黒いわけでなく、とても任務に忠実な人物です。なんと元ダンス教師。

1965年モスクワ生まれのミハイル・ゴレヴォイは、演劇界でも活躍。スピルバーグ「ブリッジ・オブ・スパイ」でKGB役など。一時期アメリカに住んでいたことがあるそうです。

 

 

イヴァン・ベツコイ公爵、帰国です!

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シーズン1から俳優さんが交代しまして、ロシア人民芸術家イーゴリ・スクリャール。1957年生まれでミュージシャンでもあるそうです。

ベツコイ公爵は、エカテリーナの母が亡くなるまでパリで一緒に暮らしていました。再び美術アカデミー総裁として迎えます。人望があり、エカテリーナにとっても頼れる相談相手。

 

この他、エカテリーナの秘書や会議に出席する閣僚が何名かいます。

さらに、ロシア大使としてオスマン帝国に向かうアレクセイ・オブレスコフ伯爵。ムスタファ3世との謁見は大事件になります!

シーズン1でエリザヴェータ1世を内縁の夫として支えたアレクセイ・ラズモフスキー伯爵の弟が登場。科学アカデミー総裁のキリル・ラズモフスキー伯爵です。その2人の息子たちが今後重要な役割を果たします。

 

新旧恋人、2人のグリゴリーが対立関係に

第1話でいよいよ登場するのが、グリゴリー・ポチョムキン少尉(ウラジミール・ヤグリッチ)。1983年モスクワ生まれ。写真を見るとワイルドなマッチョ系の役柄が多いみたいです。

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負傷しながらも戦場からオルロフの書簡をエカテリーナに届け、倒れたポチョムキン。宮殿で治療を受け、手放したくないエカテリーナによって軍服係に任命されました。どこから見ても武骨で大柄な軍人タイプなのに・・・意外にセンスがよくて、軍服や勲章、リボンのデザインのまとめ役という仕事を黙々と行うのでした。

元々は自分の部下ですからね、オルロフは面白くありません。

 

この時期、エカテリーナはオルロフと結婚し、皇位継承者にするのが夢でした。が、パーニンにもベツコイにも大主教にも反対されます ↓

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豪胆で男臭い、そして思慮が足りないグリゴリー・オルロフが皇帝になるなんて、しかもロマノフと何の関係もありませんからね、さらに政情不安になることは確実。

周囲はこぞって反対。しかも戦場で頭を負傷したオルロフは性的不能になってしまいます。そこにポチョムキン登場で焦ることになりました。

 

何とかエカテリーナに気取られないよう、あやしい薬や治療に頼るシーンは見ていてつらかったです。史実がどうかは分かりませんが。

エカテリーナの気持ちが、だんだんと寡黙で誠実で仕事もできるポチョムキンに向かうストーリーとして説得力をもたせたかったのでしょう。

 

注目の宮廷の人々。そしてオスマンの毒薬(ウイルス)が・・・

 

序盤のキーパーソンは、パーヴェルの家庭教師セミョーン・ポローシン。皇太子の良き友であり優秀な教師なのですが・・・。

エカテリーナの女官アンナと結婚する約束をしていたのに、パーニンが勝手にアンナの父親と話をつけて横取りします。さらに、息子は自分が思うように育っていないとエカテリーナの怒りが向いて、追放されてしまいます! 結婚式では僕が付添人になる♪ とパーヴェルも心底嬉しそうだったのに。

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↑ パーヴェルがフョードロヴィチの肖像画を見つけて傾倒することをシェシコフスキーに詰問されるセミョーン。エカテリーナにとっては許せない事件でした。頭がよくて芸術にも造詣が深くフェンシングも何でもできる誠実な人だったのに・・・。

↓ アンナと琥珀の間で。本物です!

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最後のシーン ↓ 強欲でケチなパーニンは、オスマン帝国からだまし取ったエカテリーナへの贈り物を婚約のプレゼントに流用。天然痘ウイルスをまぶした暗殺用白粉をアンナが父から受け取って触ってしまいました!!

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●キャスト紹介、長かった。。でもあとちょっとだけ。

 
 
 
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とてもコケティッシュで明るく社交的なソフィア・チャルトリスカヤ公爵夫人です!

エカテリーナ付きの女官で友人でもある未亡人。たくさんの浮名を流してまして、閣僚たちとも遠慮なく口がきけて機転も聞く頼れる女友達です。

演じるのはリュバヴァ・グレシノヴァLyubava Greshnova。発音は分かりません。1988年ウクライナ生まれ。

迫力系エカテリーナとは異なるチャーミングでつかみどころのない美人さん。見ていて楽しい!

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ほかに、要所要所でいい仕事をしてくれる侍女フョードラなど、長く複雑でも分かりやすい個性派が揃って楽しかったです!

 

●セミョーンはもうすぐ退場してしまいますが、エカテリーナ×パーヴェル、フョードロヴィチの影響、パーニンとの確執、オスマン帝国との関係など序盤の要素を一気に整理してくれる役柄でした。あ、ベツコイともいっしょに行動してたし。

おかげで長いストーリー展開にすんなり入っていけました。

 

●強大なオスマン帝国との争いを通して、今につながる黒海やクリミア半島の歴史的重要性、ポーランドの立場などが感じられるお話ですね。

「偉大な我らが帝国の周辺国民は、ロシアによる併合と保護を望んでいます」って、半分本音、半分はオスマンへの牽制だったと思いますが、複雑な気分になります。

 

●暗殺の陰謀の史実は知りませんが、こういうこと、何度もあったのでしょうね。

広くて不安定な帝国の舵取りをするため、必死で身内や政治と向き合って行くのがシーズン2でした。 

 

 

次回、シーズン2Ep5~8はこちらシーズン1はこちらです。

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