hulu 配信中の豪華絵巻「エカテリーナ」。↓のヴィジュアルでおなじみですね。
シーズン2はこちらからどうぞ。
原題はロシア語で「Екатерина」、英語タイトル「Ekaterina」。ただしこれは読みに忠実な表記で(近年は増えているかも)、英語では通常「Catherin」表記が多く、「大帝」といわれたので「Catherine the Great」が多いようです。エカテリーナはドイツ語だと「Katharina」、スペイン語でも「Catalina」ですね。※以下、人物名などは英文表記とします。
余談ですが、ヘレン・ミレンが後半生を演じる HBO ドラマも「Catherine the Great」でした。日本配信が待たれます。
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- ロシア国営テレビが作成した歴史ドラマです
- エカテリーナ(マリーナ・アレクサンドロワ)
- エリザヴェータ女帝(ユリヤ・アウグ)
- 皇太子ピョートル・フョードロヴィチ(アレクサンドル・ヤツェンコ)
- イヴァン6世
- 母ヨハンナ(イザベル・ショスニッヒ)
- セルゲイ・サルトゥイコフ伯爵(リナール・ムハメトフ)
- スタニスワフ・ポニャトフスキ公(アレックス・スパロウ/アレクセイ・ヴォロビヨフ)
- グリゴリー・オルロフ中尉(セルゲイ・ストレルニコフ)
- 宮廷のおじさま達をまとめてご紹介
ロシア国営テレビが作成した歴史ドラマです
3シーズン制作されたプロダクションで、ドラマティックかつ絢爛豪華。ロシアTV界の総力を結集して作られた力作だと思います(たぶん)。世界各国で注目を集めた通り、クオリティの高さ、ストーリーのたくみさ、実力派ロシア俳優たちの演技はおすすめです。
(特にシーズン2からはエカテリーナ宮殿などあちこちの世界遺産でロケを行い、画面がまばゆい。シーズン1ももちろん美しいです!)
↑エカテリーナ宮殿。
制作は、国営放送ロシアテレビ(ロシア1)。演劇の国ロシアらしく、スタッフ・キャストとも素晴らしい。
シーズン1は2014年の作品で全10話、シーズン2は2017年で12話、シーズン3は2019年でIMDbによると16話のようです。
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シーズン1は、エカテリーナ2世の戴冠式まで。シーズン2では治世の前半が描かれ、ポチョムキンが登場します。
では主なキャストです。
何せオール馴染みのない役者さんで、ロシア物につきものの愛称でよばれると誰だかわからなくなることも多く、特に閣僚たちの見分けが難しく、視聴しながらwikiのお世話にもなりました(日本版の充実度が素晴らしいです)。
エカテリーナ(マリーナ・アレクサンドロワ)
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Catherine Ⅱ(Marina Aleksandrova)
ドイツの弱小貴族からロシア皇太子ピョートル・フョードロヴィチと結婚。政治的な各国プリンセスより御しやすいと思われたのかもしれません。賢く読書家で勉強家。ロシア語とロシア文化を熱心に学び、ドイツ名ゾフィ・アウグステ・フリーデリケからロシア正教に改宗してエカテリーナと名付けられます。
エカテリーナ2世は、ロマノフ朝の第8代皇帝。1729年5月2日 - 1796年11月17日。(在位1762 - 1796)14歳でロシアへ行き、16歳で結婚、33歳で即位。亡くなったのは67歳のとき、フランス革命の7年後ですね。世界史でも有名な啓蒙専制君主でした。
演じるマリーナ・アレクサンドロワは1982年生まれ。NHK「坂の上の雲」(2010)のアリアズナでした!
日本旅行にも来ていたようで、 “もののけ姫の森” や直島、京都、東京を巡ったようです。↑では宮崎駿監督ありがとう、と投稿しています(グーグル先生ありがとう)。
瞳が印象的なロシア美人。蓮っ葉になりそうでならない強さと、重要な場面ではきちんと高貴に見える不思議な魅力の持ち主です。
賢さゆえに野心的になってしまう皇太子妃にぴったりでした。だんだんと迫力が増していきます!
エリザヴェータ女帝(ユリヤ・アウグ)
Elizabeth Ⅰ(Yuliya Aug)
エカテリーナ(フリーデリケ)嫁入りの際、ロマノフ朝第6代皇帝として権力の頂点にいたのがこのお方。ピョートル大帝とエカテリーナ1世の娘ですが、独身で子供がいなかったため、甥のピョートル・フョードロヴィチを跡継ぎとします。
実はフリーデリケ(=エカテリーナ)の母の兄カール・アウグストが婚約者だったこともゾフィを選んだ理由のよう。生涯、夭逝したカール・アウグストが忘れられませんでした。
右は極秘結婚をするアレクセイ(時々愛称でアリョーシャと呼ばれる)・ラズモフスキー伯爵(アレクサンドル・ラザレフ)。
このエリザヴェータ1世が素晴らしい存在感なんです! ロシアのメリー・マクドウェル、ヘレン・ミレンと呼びたい。
思慮深く厳しく策略家。豊満なボディで女としても自信家なうえ、帝国の継承を最優先して行動する皇帝らしいキャラクター。エカテリーナに対しては愛憎半ばするところもありますが、継承者を産んでもらわなくてはいけないので共謀する関係でもあります。
前半の主人公と言いたい迫力でした。演じるユリヤ・アウグは、監督としても活躍しているロシア映画界の重鎮みたいです。
皇太子ピョートル・フョードロヴィチ(アレクサンドル・ヤツェンコ)
Pedro Fiódorovich es un hombre débil e inseguro, con poca capacidad política. Su mandato se verá eclipsado por la inteligencia de Catalina.
— TLT ¡La Tele Tuya! (Desde 🏠) (@LaTeleTuya) August 30, 2019
El actor ruso Aleksandr Yatsenko es Pedro Fiódorovich en #CatalinaxTLT. pic.twitter.com/KUmKDV1E0q
Pyotr Ⅲ Fyodorovich(Aleksandr Yatsenko)
エリザヴェータの跡継ぎとして、生まれ育ったドイツから連れて来られたエカテリーナの夫。プロイセンのフリードリヒ大王に心酔しておりロシアに馴染めませんが、叔母エリザヴェータ女帝の死後、ピョートル3世として即位します。
重圧の下、子供っぽく寂しい複雑な皇太子役でストーリーを引っ張りました。エカテリーナとはほとんど夫婦関係は無く、別の女性と結婚しようとした結果、エカテリーナ派に皇位を追われ暗殺されたと描かれます。
演じるアレクサンドル・ヤツェンコは、受賞歴も多いロシアの実力派。主に映画・舞台で活躍していて、役によってまるで印象が変わる役者さんでした。
イヴァン6世
ロマノフ朝第5代皇帝。生後2か月で即位。翌年、エリザヴェータ女帝のクーデターにより廃位。23歳で亡くなるまで囚人として幽閉されました。家族も最北の修道院に幽閉され、追放されます。登場シーンは多くありませんが、この “正統な跡継ぎ” の存在がストーリーに影響します。
母ヨハンナ(イザベル・ショスニッヒ)
Johanna Elisabeth von Schleswig-Holstein-Gottorf(Isabel Schosnig)
娘ゾフィ・フリーデリケに付き添いドイツからロシアに滞在。問題を起こしてしまう困った母上。エリザヴェータ女帝の策略の結果、追放されてしまいますが、最後まで娘思いの母です。
セルゲイ・サルトゥイコフ伯爵(リナール・ムハメトフ)
Saltykov(Rinal Mukhametov)
物語冒頭でフリーデリケ(後のエカテリーナ)が皇太子と勘違いしひと目惚れする相手であり、後に最初の愛人となります。皇太子フョードロヴィチの友人でもある優男。エカテリーナが生んだ最初の息子パーヴェル(後の皇帝パーヴェル1世)はサルトゥイコフとの子ではないかといわれます。
ドラマ切ってのイケメン(と思う)リナール・ムハメトフは、1989年タタール生まれ。ロシアのファンタジー映画「アビゲイル クローズド・ワールド」やSF映画「アトラクション 制圧」などにも出演していて、今後に注目です!
スタニスワフ・ポニャトフスキ公(アレックス・スパロウ/アレクセイ・ヴォロビヨフ)
Knyaz Ponyatovsky(Alex Sparrow/Alexey Vorobyov)
ポーランドのプリンスであり、公使としてロシアに赴任中。後のポーランド王。子供(パーヴェル)が生まれ、エリザヴェータ女帝がサルトゥイコフを海外に追いやった後、エカテリーナの2番めの愛人となります。顔が命のちょっとお間抜けな可愛いタイプ。
サルトゥイコフと双璧のイケメンです。ミュージシャン・アーティストとしてはアレックス・スパロウ、役者としてはアレクセイ・ヴォロビヨフの名で活動することが多いようです。1988年、トゥーラ生まれ。
グリゴリー・オルロフ中尉(セルゲイ・ストレルニコフ)
A este hombre de rostro angelical no le harán falta títulos nobiliarios para conquistar el corazón de la zarina.
— TLT ¡La Tele Tuya! (Desde 🏠) (@LaTeleTuya) November 22, 2019
El actor 🇷🇺 Sergey Strelnikov interpreta al capitán Grigory Orlov en #CatalinaxTLT pic.twitter.com/DNVNXIgiZa
Grigory Orlov(Sergey Strelnikov)
頼れる軍人役、3番めの愛人となるのがグリゴリー。4人兄弟全員が近衛連隊という軍人ファミリーで、エカテリーナを救出し、クーデターに大きな役割を果たす後半の立役者。これまでにない男っぽいタイプですが、ちょっと傲慢なところもあります。
1979年生まれのセルゲイ・ストレルニコフは、ロシアのタンボフ州のニキフォロフスキー地区にあるドミトリエフカ出身(ロシアの地理・制度が分からないので英語版からの直訳です)。ロシアを中心に多くの映画・ドラマで活躍する人気俳優。
宮廷のおじさま達をまとめてご紹介
政治劇なので、おじさま方それぞれの立場やキャラクターが把握できると面白さが増します。ロシアの視聴者にはもともと有名な人が多いのでしょうが(徳川幕府の重臣、みたいな?)、顔を覚えるのが苦手なわたくしは最初の2,3話は苦しかった・・・。
写真が少ないですが、こんな人たちがいるよということでご参考まで。
アレクセイ・ラズモフスキー伯爵(アレクサンドル・ラザレフ)
エリザヴェータ女帝のところでご紹介した重臣。エリザヴェータの愛人で後に極秘結婚をします。誠実な人柄でフョードロヴィチ、エカテリーナ双方に信頼され、何とか和解させようと努力します。
イヴァン・ベツコイ公爵(キリル・ルブツォフ)
エリザヴェータ女帝の命令でエカテリーナの母ヨハンナを誘惑し、情報(プロイセンとの関係など)を探ることになります。が、本気で愛し合うようになり追放されます。
レストック医師(コンスタンチン・ラヴロネンコ)
宮廷付きの医師としてエカテリーナ(フリーデリケ)の婚約前の身体検査などを担当。自国に有利なプリンセスと婚約させたいフランス大使と結託し、フリーデリケ暗殺を試みます。計画のためにイタリア人の侍女ジェマを誘惑するなど暗躍。前半のサスペンスを盛り上げてくれました。
シュヴァーロフ長官(ニコライ・コザック)
右側のスキンヘッドのコワモテ貴族で秘密警察長官。拷問に躊躇しない冷酷なタイプのようでいて、政治家として逡巡する重臣。人間味のあるKGB長官のような人。
宰相ベストゥージェフ(ウラジミール・メニショフ)
🎂📽️ Soviet-Russian filmmaker & actor Vladimir Menshov, Academy Award winner & director the most beloved Soviet & Russian classics – Moscow Does Not Believe in Tears (1979), Love and Pigeons (1984) & others – turns 8⃣0⃣ today. Happy birthday Vladimir Valentinovich! pic.twitter.com/EqWh0Ji1hf
— Russia in RSA 🇷🇺 (@EmbassyofRussia) September 17, 2019
宰相兼外相で、聡明なエカテリーナを認め助けてくれることも多かった。が、それが問題となり解任されます。
演じるウラジミール・メニショフは、アカデミー賞外国語映画賞を受賞するなどした国際派の重鎮。
アプラクシン元帥(ヴィクター・クラフチェンコ)
後半出番が増えるエカテリーナ派の陸軍元帥。ベストゥージェフとともに不当に逮捕されたグレゴリー・オルロフのために動いてくれます。
この他、皇太子の婚約を巡って活動するフランス大使、ゾフィ・フリーデリケ(エカテリーナ)&母ヨハンナの行動を気にするプロイセン大使、後半では娘リザ(エリザヴェータ)が皇太子フョードロヴィチの愛人となるヴォロンツォフ伯爵(つまり反エカテリーナ)が主要な役どころでしょうか。
もちろんこの時期の大物、プロイセンのフリードリヒ大王も分かりやすくて目が離せない人物です。
当初は宮廷の女性たちに貧乏貴族と蔑まれたエカテリーナですが、侍女たちは何かと助けてくれます。特にマトリョーナとその恋人ピーメンは、宮廷の情報を教えてくれるなど味方が増えていくのは心強い。秘密警察長官シュヴァーロフのスパイだった侍女もいましたが・・・。
皇太子フョードロヴィチの忠実な友ブレクドルフ(マクシム・ケリン)も印象的でした。
歴史ドラマ、コスチュームプレイ好きの期待を裏切らない作品です。国営テレビ制作のためか、エロ&残虐シーンはほぼありません。安心して(?)ご視聴ください。
シーズン3を楽しみに待ちつつ、少しずつネタバレ感想をまとめたいと思います。
※シーズン2はこちらにまとめました。