カノンの海外ドラマ漂流記

気ままな海外ドラマ中心のブログです。ネタバレ記事中心です。

hulu ドラマ「メディチ」シーズン1 Ep6「帰還」ASCENDANCY 感想

会話劇中心の静かめの回と思いきや、最後が悲惨すぎました・・・。

 

前回追放から一年でフィレンツェに戻ってきたコジモ・デ・メディチ(リチャード・マッデンの前に、教皇が登場します。

 

 

人は人を裁けるのか、が主題

このドラマそのもののテーマかもしれません。今回は繰り返し語られます。

 

神父がマルコ(グイド・カプリーノ)に「他人を告発することは責任を伴う。過ちを正すのは神なのだから」

教皇がコジモに「人を裁く権利は神から託されたものだ。神の正義と復讐を混同してはならない」「手を清めるだけでは穢れは落ちない」

獄中のリナルド・アルビッツィ(レックス・シャープネル)がコジモに「俺を救えば自分の魂が救われると思うのか」

 

中世キリスト教的価値観から大きく変わりつつあったルネサンスのフィレンツェですが、人間の本質を問う信仰心に変わりはありません。

 

ミラノのヴィスコンティ家&ローマのコロンナ家によってヴァチカンから追い出された、教皇エウゲニウス4世。イタリア半島だけでなく、オスマン帝国などの問題にも対応しなくてはならず、メディチ家と協力していくことになります。今回、メディチ家の居候となりました。

教皇役は英国のデヴィッド・バンバー、1954年生まれ。映画、ドラマでしょっちゅう見かけるお顔。ひと癖ある人物が多いですね。

後ろの建物は、円蓋(クーポラ)の建設が進んできたサンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂です。

 

独裁政治ゆえに反逆罪で告発されたアルビッツィ。急先鋒はかつての盟友パッツィ(ダニエル・カルタジローン)です。

コジモは慈悲を示すべきと主張し、教皇とともに処刑を止めようとします。パッツィらの執拗な妨害を何とか排して、自分は安全圏にいようとした教皇も巻き込み、アルビッツィと息子を追放処分にとどめることができました

アルビッツィは二度とフィレンツェに戻らないことを約束し、息子オルマンド(エウジェニオ・フランチェスキーニ)と二人だけで馬に乗って街を後にします。

 

アルビッツィ、大変分かりやすい単純な人でしたよね。敵ながら読みやすい。傲慢ですぐ力に訴える性格。パッツィのほうが何を考えているか分からず、油断ならないです。

 

そして今回最後のシーン、アルビッツィ父子は森の中で大勢に襲撃され殺されます・・・

 

この時、サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂では教皇の祝福を受けています。厳粛で神々しい美しい映像とアルビッツィ殺害シーンが交互に映し出され、大変ドラマティックで迫力あるシーンでした。しかしまさか殺されるとは! 誰に!? という疑問を示し、シーズン終盤へ向けての一大転機となりました。

誰がアルビッツィを裁いたのか、です

 

(念のため、史実のリナルド・デリ・アルビッツィは、追放された後もフィレンツェ軍と戦うなどしまして、亡くなるのは8年後です。)

 

あまりに凄惨で悲しい最期でした。大聖堂に参列していたメディチ一家との対比が冷酷で、厳しい時代性が際立っていました。

 

そしてコジモは変わりましたね。

少しずつですが、亡命生活を経て政治家として肝が据わったこと、自信をつけたことがうかがえます。現実と理想主義の間で悩んでいたナイーブさは消え、覚悟を決めてビジネスと政務に向き合う姿勢を見せてきました。

 

家族それぞれにも転機が訪れる

冒頭からひんやりしてました。コジモと妻コンテッシーナ(アナベル・スコーリー)。一年ぶりの再会も寒々とした会話しかありません。

 

ようやく完成したドナテッロのダヴィデ像。「フィレンツェに再び芸術の花が咲くぞ」は嬉しかった。

 

マルコ(グイド・カプリーノ)はコジモの愛人で奴隷のマッダレーナ(サラ・ヘルバーバウム)が気になる。裸で何かあったわけではなく、剣の鍛錬の後の会話です。

 

当たり前ですが、コンテッシーナとマッダレーナの間は不穏な空気。いじわるも少々。

 

洋の東西を問わず愛人と同居は当時としては珍しくなかったでしょうが、マッダレーナのことも含めてコンテッシーナがコジモにはっきり言ったのはよかった。

潔く死ぬつもりだったのに追放処分(を勝ち取り命を救った妻)にいまだ怒っているコジモ。言い合いのなかでコンテッシーナはぶちまけます。

 

あの時のあなたは殉教者気取りのただの子供よ。一年前に戻れたら見殺しにするわ」ああ、スッキリした。

 

ところで、コジモは自分が不在中にコンテッシーナと昔の恋人エツィオ(デビッド・スツルゼイカー)が会っていたことを持ち出しますが、これ、目撃者のエミリア(タチアナ・ナルドーネ)が話したとしか思えないですよね。エミリアはずっとコンテッシーナ付きとしてそばにいました。

マッダレーナとエミリアの会話から察するに、エミリアもかつて関係があったのでしょう。コジモ本人かは不明ですが、当時はあり得る話だと思いました。

 

しかしこの夫婦のシーンは徹底して甘くなりませんね・・・。歴史ドラマに純愛ものは求めませんが、あえて複雑な気持ちがぶつかる時だけの演出になってます。でもマッダレーナを締め出して、一応修復したとしてよさそう。

 

弟ロレンツォ(スチュアート・マーティン)は名家の娘と婚約。 

もちろんコジモが勝手に決めてきました。「父さん(ジョヴァンニ:ダスティン・ホフマン)に似てきたな」です。でもロレンツォは社交的なので食事の席も無難にやりすごす。

 

より積極的に父のもとで学びたい息子ピエロ君(アレッサンドロ・スペルドゥティ)は厄介な事態に陥ります。↓ヴェネツィア時代のお洋服ですが。

それは傭兵問題。フィレンツェに残っていた傭兵たちに報酬を要求され(雇い主アルビッツィが払えなくなったため)、父とともに交渉する羽目に。人払いをしたコジモが何を密談したか気になるところです。

次回、犯人について考えてみたいと思います。コジモにも影響大です・・・。

 

改めて舞台がフィレンツェに戻った今回。大聖堂の祝福のシーンには久しぶりに天才建築家ブルネレスキも参列していました。演じるアレッサンドロ・プレツィオージ。オフィシャルポートレートでこのけれん味、気に入ってます。

 

 

 

Medici- Masters of Florence